ジジョロン

「そろそろ本気だす」といい始めてからが本番だ

オセロの悲劇はなしの方向でお願いします>日本将棋連盟

とはいってもシェイクスピアじゃなくて、ボードゲームの「オセロ」の話なんだけれども。 「人間に勝つコンピュータ将棋の作り方」のエピローグ、はこだて未来大学の松原仁さんの話によると、コンピュータオセロ(Logistello)と人間のオセロチャンピオンの村上健さんが初めて対決!したのがチェスの対戦と同じ1997年だったけれど、すでにこの時点で人類はコンピュータオセロに勝てないレベルになっていて、コンピュータの6戦全勝。勝負にならなかったらしい。

翻ってコンピュータ将棋は、先日行われた電王戦ファイナル。勝負としてはレギュレーション(規則)を決めれば興行としてまだいける(見ていて楽しめる)水準だと思われる。人類側はまだ現タイトルフォルダー出していないし、将棋超人羽生善治を投入していない。逆にいえば、投入しても端から勝負にならないほど棋力が離れないうちに、対戦して欲しいな、と一将棋ファンとしては願うばかりです。

人間に勝つコンピュータ将棋の作り方

人間に勝つコンピュータ将棋の作り方

概要

本書「人間に勝つコンピュータ将棋の作り方」は出版が2012年11月1日なので、コンピュータの棋力がまだ現在のように高段プロまで到達していないものの、すでに名人レベルは時間の問題という認識があった、そんな頃に編集されています。清水市代女流 vs あから2010の公式対局の舞台裏表のこと、Bonanza 革命以降急速に進んだ自動学習技術による記録向上の話、将棋ソフト開発者の技術説明、コンピュータ将棋の歴史などバラエティに飛んだ内容で、今(2015年)読むと当時の開発者の熱気を体感できて感動します。

どの章も面白かったですが、私は伊藤毅志さんの合議システムの構築が興味深かったですね。調整にもよるけれど、ソフト同士の合議のほうが勝率が上がるというのは、人間が合議するとダメになることが多いのに何故なのかwとか考えさせられますね。通信プロトコロルの変換に Perl を使った、というのも個人的にツボでした。

また、元奨励会員の古作登さんによるコンピュータ将棋の弱点の話なんかは、今だと半分ぐらいは対策されていて、ソフトの進化の早さを痛感します。

今後、電王戦やコンピュータ将棋の観戦をより深く楽しみたいなら、本書を読むことをオススメします。

今日の自助

羽生善治はまだ勝てるうちに対局して欲しいなあ。

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