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「そろそろ本気だす」といい始めてからが本番だ

対談読むの好き / 羽生善治×川上量生「羽生さんはコンピュータに勝てますか?」完全版

羽生善治×川上量生「羽生さんはコンピュータに勝てますか?」完全版 【文春e-Books】

羽生善治×川上量生「羽生さんはコンピュータに勝てますか?」完全版 【文春e-Books】

kindel だと週刊誌の特集記事だけを取り外して文章追加して別の作品として売り出すことが出来る。 なるほどなあ。こういうフレキシブルな売り方は賢いですね。

将棋ファンでなくてもその発言が色んな業界の有名人に注目されている羽生善治名人の話も聞きたいし、 今や大企業のお偉いさんになった川上量生の対談ということでスピンアウトしたんでしょうね。

電王戦を巡るいろんな分野の賛否は面白く、どうも人間は機械(コンピューター)に対して敵愾心が 未だにあって、ラッダイト運動時代の心持ちと変わんないんだなあ、とか思いながら。

時代の趨勢といいますか、すでにコンピューターに背負われている社会システムになっているのに、 何いってるんですかね。

本書は羽生、川上の電王戦の総括と「電脳」の今について語られたもので、ディープラーニング、シンギュラリティ といったキーワードを知らない人には刺激があるかもしれないなと。

詳しく知りたい人は専門書を読むといいですね。

本書でなるほどなあと思ったのは、コンピュータの思考を人間が真似ることは、思考を壊すのではないか という羽生の指摘。

例えが秀逸だったのでうろ覚えですが紹介しますと、

140km/h 投げるピッチャーがいて、ピッチングマシンが150km/h を投げたのをみたとする。 するともう少し頑張ればいける、と思って試行錯誤して到達する可能性がある。

ピッチングマシンが200km/h を投げたのをみて、真似をしようとは思わない。どう考えて 身体を壊す。身の丈に合わない力を手に入れようとすると今までの身体では間に合わないからだ。

これが思考にも当てはまるのではと。コンピュータのようにすべての局面を虱潰しに読みまくる ことが果して人間に合うのか?

そもそも人間の思考のパターンは、極力情報を省略しても正解を導くことに最適化されているわけで、 真逆にいくことは負荷が掛かり過ぎるのでは?

ということのようです。なるほどなあ。すべてをまじめに読むのは正直しんどいですし現実的 ではないけれど、今までの感覚では当然考える必要はない、と即断していた局面をもう少し 考えてみようかな、ぐらいでいけばいいかもしれない。

というわけで、やっぱり羽生が出てくる対談は気付きがあるんですよ。 なので彼が出てくる対談は大抵読むようにしていますし、みなさんも是非。

一番の衝撃は羽生が「101/2章で書かれた世界の歴史」を読んでいたこと。 どこで読むべき本の情報を入手しているのだろう? ブレーンがいるのだろうか?

101/2章で書かれた世界の歴史 (白水Uブックス)

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その他参考文献

羽生善治 闘う頭脳 (文春ムック)

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コンテンツの秘密―ぼくがジブリで考えたこと (NHK出版新書 458)

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鈴木さんにも分かるネットの未来 (岩波新書)

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ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!

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人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)

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AIの衝撃 人工知能は人類の敵か (講談社現代新書)

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ポスト・ヒューマン誕生―コンピュータが人類の知性を超えるとき

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  • 作者: レイ・カーツワイル,井上健,小野木明恵,野中香方子,福田実
  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売日: 2007/01
  • メディア: 単行本
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週刊 ダイヤモンド 2013年 4/6号 [雑誌]

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