西尾維新対談集「本題」を読んだ
西尾維新は好きな作家だったのだけれど、化物語シリーズを追っかけていく中で食傷気味になっちゃって、「終物語上」を読もうとして挫折しています。シリーズものは連続で読んでいないと、出て来るキャラを忘れてしまい、思い出すのに苦労するので話に没頭するのに時間が掛りませんか?
なので再読したいのだけれど、すでに既読の作品は処分済だったので未だに読めずにいるという。
私が西尾維新の好きなところは、読んでいて気持ち良いリズムですらすら頭に入るってところでしょうか。リーダビリティが高い。同じ意味の文章を少しずつ言葉を換えて繰り返してみたりするところなんて、幸田露伴が漢文調でやっていたことにそっくりで、この手法は声を出して読むとよくわかるのだけれど、迫力、臨場感が出るので、俺、今、本読んでる!って実感できてよいのです。
また、ミステリーといいますか、謎解き要素があるのもいいですよね。ホームズ、ルパン、ブラウン神父といったミステリーの初期作品の素朴な味わいが好きな私としては、西尾維新ぐらいの難易度が丁度よいです。微笑ましい叙述トリックの加減もよいです。一方、ファンタジー作品も好きなので、西尾維新は本当に具合がいい。
さて、西尾維新対談集「本題」ですが、対談に出てくるクリエイターも序盤の3名は好きな作家ばかりなので、創作の裏側を知るのは興味深いです。すみません、下のお二人はよく知らないのですよね…。
それでも西尾維新が指名した人物なのですからちょっと読んでみようかと気になっています。
登場するのは
- 小林賢太郎(ラーメンズ)
- 荒川弘(鋼の錬金術師、銀の匙、コミック版アルスラーン戦記)
- 羽海野チカ(ハチミツとクローバー、三月のライオン)
- 辻村深月(「冷たい校舎の時は止まる」「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」)
- 堀江敏幸(「熊の敷石」「その姿の消し方」)
さて本書で気なったところを抜書きします。
西尾 最近は、パソコンの機能が高まりすぎてかえって使いづらくなってきたので、「ポメラ」というワープロ機能のみに特化したものを使っています。
おお。西尾維新もポメラ使っているのか。昔読んだインタビューでは、戯言シリーズのルビを振るためにWord使ってるとか書いてた気がするけど、そっか、ポメラにしてるのかあ。
インタビューが2013年8月、ということはそれ以前のポメラってことか。だとすると、DM100なのかな。確かに入力マシンとして悪くないけど毎日大量に打つならキーボード大きい方が捗ると思うのだけれど違うでしょうねえ。
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西尾 …基本的には、僕は常に、今書いているものが最後の小説になるかもしれないと思いながら書いているんですね。
だからこそ作品作品でとりあえず完結させるのか。シリーズとはいえ、単体での区切りを必ず付けると。それって結構大変なのでは?世間には投げっぱなしなものも沢山流通しているからなあ。
それに仕事のスタイルも影響しているんでしょうね。書き下ろしが中心だったら連載じゃないわけで、区切りやすい。その辺もこだわりがあるんだな。
西尾「…1日2万字を目安に書いていまして…」
新書1冊あたり、1ページ600文字だとすると、ページ数を200〜250だとすれば、12〜15万文字。ということは1週間で1冊仕上がるペースなのか…。
2万字っていうけれど、400文字原稿用紙で50枚だからね。1枚1時間じゃ間に合わない。1時間に7枚だとすると8時間で収まるけど…。10分で1枚か…。書く内容が決まっているのであればバリバリ書けるだろうけれど、どうなんだろう、話が決まっていない場合ぐるぐる頭の中で考える必要があると思うのだけれど関係ないのかな…。
そもそもインプットがないとアウトプット出来ないのと思うのだけれど、そのインプットの時間とかどうなっているの?
勿論書き上げたものがすべて商品になるクオリティなのかなー。どうなってんだろう…。
私なんかは生活に困らないほど稼いだら、さくっと足を洗って遊んで暮らしたい人間なんだけど、こういうクリエイターな人は、もう辞めることも出来ないほど、物書きに嵌ってしまっているのだろうか。
対談集では創作者の苦悩の一部を垣間見ることが出来たけれど、もっと闇的な話も読みたいところだなと思いました。それにしても2万文字か…。