「天は自ら助くる者を助く」に関する勘違い二題
Heaven helps those who help themselves.
自助論の冒頭に出てくる有名なフレーズですが、ひとり歩きしてる感あるね。 なんならこのフレーズだけで「自助論」読んだ気になるね。 というか、このフレーズを証明するための事例集(前半は)といえるかもしれない。
強力なメッセージを含むこのフレーズも、使用方法を誤ると害になるので、ちょっとその辺を説明したい。
他人の力を借りてはいけない
よくいわれる深読みというか勘違いは、他人の力を借りずに自らを助けないといけないというもの。 「自ら助くる」に他人を当てにしてはならん、という意味を引き出したのでしょうか。
勿論そんなことはなく、自助論では1章を割いて、他人の力を借りることがいかに有用であるかを説明している。 問題は力を借りっぱなしになることです。他人がいないと自立出来ない事態は当然認められません。
人は独りきりでは生きていなけないわけで当たり前なんですけどね。どうしてそんなことも想像出来ないんでしょうね。
国民は政府に頼らず自助すべきだ
一般人が仲間を鼓舞したりするのに使うのなら問題ないと思いますけれど、政府や自治体がこの意味でこのフレーズを使うのはどうでしょうねえ。
おそらく一概にはいえないはずです。自助出来るような環境にいない人もいるだろうし、そもそも人間すべてが自助出来るかというと、無理だ。 現実問題として無理です。国民全員そうあって欲しい、と私も思うけれど人それぞれだからなあ。無理は言えない。
国や県などが自助すべき!とかいって、行政サービスの削減の言い訳に使うのは筋が違うと思う。 逆に無理な人こそ国、県が力添えをして、保護するなり指導するなりするのが仕事だと思うのですけれどね。 自助すべき、とかじゃなく出来るようにするための啓蒙活動こそやるべきじゃないのかなと。
現代語訳 西国立志編 スマイルズの『自助論』 (PHP新書)
- 作者: サミュエル・スマイルズ,中村正直,金谷俊一郎
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- 発売日: 2013/03/17
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P.S 毎日20頁づつ読み進めています。端折ってないから竹内版にはない西洋ではおそらく有名な人達、だけど日本では無名な人が大量に出てきてぶっちゃけ竹内版で十分かなーという気がしています。
あと現代訳の言葉の調子がどうも気が抜ける、というか中村正直の漢文調じゃないと腑に落ちない感じあるなあ。なんでかな。