「自助論」が日本をダメにした?
「ダメにした」と主張した本が宮崎学「「自己啓発病」社会」です。
本書の内容を要約すると、
- 竹内「自助論」は抄訳で正しい姿を伝えていない
- 小泉内閣は「自助論」を引き合いに出し、何事も自己責任だとして国民に我慢を強要し、挙句国力を多いに下げた
- 読むなら自助論は全訳を読むべき
- ただしそれは現代と状況が違うので、鵜呑みにしてはダメだ
ということのようです。
私は竹内「自助論」しか読んでおらず、また小泉元首相が「自助論」を援用していたことも知らなかったので目からが鱗でした。
自己啓発本のブームの分析や、小泉内閣の構造改革の論拠の1つとしての「自助論」の使われ方については(正直背景となる知識の絶対量が当たり前ですけど著者よりないので)こじつけっぽいな、とか検討不足じゃねーの?と思いましたがそれはおいておくとして。
全訳を読むべきだ、というのは確かにそうだ、というわけで早速 kindle 版を購入して読みました。
が、正直いって著者がいうほど竹内版が悪いとは思わなかったです。
確かに全訳版のほうがエピソードが多いけれど、日本では知られていない人が大勢いてここは端折られてもしょうがないね、と思いました。
ただ、改訂版、及び初版本の序文は価値があるので何故省略したのかは確かに疑問ですね。
例えば、改訂版序文には、
本書が利己主義を賞賛するものだと受け取られてしまったのだった
とか
いずれにせよ、どんな場合でも一番大事なのは結果ではなく、その目的であり、価値ある目的の実現に向けて注ぐ努力と忍耐、勇気、不屈の闘志である。
という言葉があって、是非いれておくべきだったと思う。そうしなかったために、結果を追い求める自己啓発本として、解釈されてしまったのだろう。
自助は他人と結果を争うためのものじゃなく、目的とその道程が主眼ですからね。 また、社会や外部から自助は強制されるものじゃない。いわれるのではなく、自らすすんでやるべきこと。
ここを履き違えて使われしまったり、読まれたりしてるんだな。
ともあれ全訳を読むきっかけを作ってくれた本書に感謝です。
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