ジジョロン

「そろそろ本気だす」といい始めてからが本番だ

「坂口恭平」本づくし+

立て続けに3冊+イベントトークが収録された1冊、合計4冊を読んだのでざっと感想を。

「隅田川のエジソン」「徘徊タクシー」「幻年時代」の3冊は著者坂口恭平の体験記をそのまま自動書記して書かれたんだろうな、という本。というのも、私が坂口恭平で最初に目を通した「0円ハウス」に簡単な年表、というか学生時代から現代にいたる日々が荒くだけど書かれてあって、だからこの3冊は各時代をそれぞれ詳しく書き下ろしたんだろうなと。

だから、というわけじゃないけれど、驚きはないのであった。筋はわかっているから、あとは積み重ねられたエピソードと少し癖のある表現スタイルを楽しめるかどうかだったんだけれど、私の場合、食傷気味でまとめて読んだから、ということもあるけれど、やっぱり1冊目の衝撃を超えるものではなかった、というのが実際のところ。

「隅田川のエジソン」は、彼が大学生時代にブルーシート生活をしている人達と出会い、その生き様に惹かれていく様を、浮浪者目線で書き下ろしたもの。「0円ハウス」で描写した姿を180度反転させたものとなってる、だけ。だから面白さは分かるんだけれど、すでに知ってしまっているやつだったし、小説風なのもあまり、ね。

「徘徊タクシー」は認知症の曾祖母は、実は違う世界に生きている!という仮説のもと、そんな認知症の人達の言葉を信じて、あちこち連れてって、その言葉の秘密を探る話。前半の実体験であろうエピソードから後半の認知症者のキーワードを巡って動き回るのは結構面白かった。が、後半詰め込みすぎなのか唐突に終わってもったいない感じ。

「幻年時代」は著者の幼年期の話。新宮の団地に住んでいたとか、福岡よりの話があって福岡に住んでいるものとしてはときめくけれど、本書は結果、只の昔話でとくに感想はない。

で、掘り出し物だったのが、これ、「わたしのはたらき」という自分の仕事を考えるシンポジウムに呼ばれて話したことが収録されているんですが、これが面白かった!

とにかく凄まじい覚悟で生きてるのがビンビン伝わってきてヤバイ。

例えば

自分には可能性がある。けどそれを自分の身体で、この寿命の中で完全に開放することはできないだろう。だから遠回りをする時間はない。「近道してくれ」って。 それはどうすればいいかというと、「明日死んでもいい」ということだけでやればいい。才能を必ず毎日100%つかってくれ。油断しないで真剣にやれってことを、僕は誓ったんですよ

とか。

これ、小学性時代ですからね。

もうね、その他のエピソードもそうだけど熱量が凄い。自分が恥ずかしくなってくるよ…。

この本は彼だけじゃなく個性的な人達が沢山登壇しててめっちゃ面白かったんですよ。 それだけで今回の乱読は収穫がありました。

この本はシリーズになっているようなので他のも読みたいと思います。

いやー、いろんな人がいて飽きないわ。

隅田川のエジソン

隅田川のエジソン

徘徊タクシー

徘徊タクシー

幻年時代

幻年時代

わたしのはたらき

わたしのはたらき

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